全社的にBoxを導入する(している)場合は、管理対象の社員にライセンスを払い出しますが、その際、既に個人でBoxのフリーアカウントを使用している社員については、自社テナントへのアカウント取込みが推奨されます。
ここでは、取込みにおけるメリットや、取込時の注意点についてご説明します。
目次
・フリーアカウントとは
・なぜフリーアカウントを取り込む必要があるのか
・フリーアカウントを取り込むメリット
・フリーアカウントの取り込み方法
1.手動でのユーザー取り込み
2.外部ユーザーの取り込み
3.Box社による強制取り込み
・強制取り込み時の注意事項
1.事前通知
2.ストレージ容量について
3.所有するコンテンツについて
4.ドメインについて
5.外部コラボレーションのドメイン制限について
フリーアカウントとは
フリーアカウントとは、無料で利用でき、どのテナントにも所属していないBox アカウントの事を指します。セキュリティ要件の設定機能やストレージ容量などに制限があります。
なぜフリーアカウントを取り込む必要があるのか
フリーアカウントを使い続けると、管理面、及びセキュリティ面で、以下のリスクがあります。
1.アカウント管理
・自社で誰がフリーアカウントを利用しているか、管理者が把握できない。
・フリーアカウントが不正に乗っ取られた場合、管理者はアカウントを停止することができず、甚大な被害が出る可能性がある。
2.コンテンツ管理
・実際は自社の著作物・機密文書だったとしても、共有するコンテンツは他社Boxテナントの所有物となってしまい、他社による利用や外部共有を制限・監視することができない。
3.監査ログ
・監査ログは、管理対象ユーザーが対象のため、フリーアカウントを使っている自社の社員がどのような操作をしたか、誰とコラボレーションをしているかを、管理者が把握することができない。
4.シャドーIT
・フリーアカウントの利用(Boxへの通信)が、業務上必要なものかそうでないのかの判断がつけられず、シャドーITとしてのBoxフリーアカウント利用を制限することが困難
フリーアカウントを取り込むメリット
フリーアカウントを自社テナントに取込むことで、以下のようなメリットを得ることができます。
1.アカウント管理
・管理者がアカウントを管理できる(作成・削除・無効化など)ようになる。
・ADとのアカウント同期や他のアプリとの連携、SSOも実現する事が可能になる。
2.コンテンツ管理
・自社Boxテナントに置いた資料は、フォルダごとにアクセス権や公開範囲を柔軟に設定する事が可能。
3.監査ログ
・ユーザーが実行した操作に関するログが7年分保存され、いつでも調査・閲覧が可能。
4.シャドーIT
・企業向け専用のURLを設定することで、自社NWでBoxフリーアカウントのURLをブロックし、会社PCからの不必要なBoxフリーアカウントへのアクセスを禁止することができる。
フリーアカウントの取り込み方法
フリーアカウントを取り込む方法は3通りあります。
1.手動でのユーザー取り込み
「管理対象ユーザーの追加」を行うことで、フリーアカウントを自社テナントへ取り込むことができます。管理者はWeb UIで一人ずつ取り込むか、またはあらかじめ用意したCSVファイルをインポートして(複数まとめて)取り込むことができます。手順は下記リンクをご参照ください。
参考:管理対象ユーザーの追加
2.外部ユーザーの取り込み
自社テナントのフォルダへコラボレーションしたフリーアカウント(外部ユーザー)も、管理者がWeb UIから取り込むことができます。[管理コンソール] > [ユーザーとグループ] > [外部ユーザー]から対象ユーザーを検索し、[・・・]をクリックします。メニューから「管理対象ユーザーへの変更」をクリックすることで、「1. 手動でのユーザー取り込み」と同じように、外部ユーザーを取り込むことができます(下記画像をご参考ください)。
3.Box社による強制取り込み
Box社へ申請を行うことで、フリーアカウントを強制的に自社テナントへ取り込むことができます。前述した1.および2.の取り込み方法では、「管理者による対象ユーザーへの招待」と「ユーザーによる招待承諾」という2つの作業が必要となるため、以下のような課題があります。
・管理者負担の増加
取り込むユーザーが多い場合、管理者は個別に招待を行う必要があり、負担が大きくなる
・ユーザーの承諾待ち
ユーザーに招待を承諾してもらえず、取り込み作業が遅れる
そこで、Box社へ申請を行うことで、管理者の負担を軽減することができます。
※フリーアカウント400名まで無償で取り込み可能です。400名以上は別途費用が掛かります。
強制取り込み時の注意事項
Box社へフリーアカウントの強制取り込みを申請する際、次の点に注意する必要があります。
1.事前通知
14日前に、取り込み対象ユーザーへ案内(会社のBoxテナントへ取り込むこと)を事前に通知しておく必要がある。
2.ストレージ容量について
ユーザーのストレージ割当量は移行前と変わりません。必要に応じて移行後にご自身で変更していただきます。
管理者が新規で作成したユーザーは、「新規ユーザーの初期設定」で決められたデフォルト値で設定されますが、フリーユーザーの場合、各々で設定しているため、取り込み後は、管理者が設定値に相違無いか、確認する必要があります。
3.所有するコンテンツについて
移行開始から移行完了までは、対象ユーザーの所有するコンテンツへは原則アクセスできなくなります。(コラボレータ含む)
4.ドメインについて
取り込みを行うユーザーのメールアドレスのドメインは、取り込み先のテナントの管理ドメインに含まれている必要があります。
5.外部コラボレーションのドメイン制限について
取り込み先のテナントで外部コラボレーションのドメインを制限している場合、ユーザー取り込み時に許可外ドメインのコラボレーションは削除されます。
まとめ
フリーアカウントの強制取り込みは、フリーアカウントの取り込みが上手くいかない時の、最終手段です。管理者は、Boxという新しいツールを運用していく上で、一人で悩まずに、Box社(または代理店)へお気軽に相談して頂けたら幸いです。