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はじめてのAI講座 「第四回 PoC(お試し導入)ってなに?成功する企業の共通点とは」

こんにちは。「はじめてのAI講座」第四回をお届けします。
前回は「第3回AIってどうやって作るの?開発の流れを知ろう」というテーマで、
実際にAIはどうやって開発されているのか、開発のステップを紹介しました。

今回は、AI導入を検討する上で重要なステップ「PoC(お試し導入)」について解説します

PoCってなに?

AIを導入する際、「PoC(ピー・オー・シー)」という言葉をよく耳にしませんか?
これは「Proof of Concept」の略で、日本語では「概念実証」と呼ばれます。

PoCとは、「このAIが業務で本当に役立つのか?」を小規模に試すことを指します。
つまり、AI導入前にその効果を試してみる「お試し期間」のような段階です。

たとえば、ある企業がAIで書類の仕分けを自動化したいと考えたとします。
いきなり全社導入するのではなく、まずは一部の部署で試験的にAIを使ってみて、その精度や効果を確認します。これがPoCです。

 

なぜPoCが必要なの?

AIは便利なツールですが、魔法のようにすべてを解決してくれるわけではありません。
導入しても効果が出ないケースもあるため、まずは小さく始めて、リスクを減らしながら本格導入の可能性を探るのがPoCの目的です。

PoCを行うメリット

  • 自社の課題にAIがフィットするか確認できる
  • 実運用前にリスクや問題点を把握できる
  • 社内の関係者がAI導入に納得しやすくなる

 

PoCの進め方(詳しく解説)

PoCは、次の5つのステップに分けて計画的に進めるのが成功のカギです。

AI記事 (2)

  • STEP 1:課題の明確化

    ずは、「AIで何を解決したいのか?」を明確にしましょう。
    漠然としたままだと、PoCの目的も効果もぼやけてしまいます。
    たとえば、こんな課題がよくあります:

    ・作業に時間がかかり、人手が足りない
    ・点検や検査にムラがあり、精度が安定しない
    ・データはあるのに、有効活用できていない

    → 現場の困りごとを具体的な言葉で言語化するのがコツです。

 

  • STEP 2:成功基準を決める(KPIの設定)

    PoCが成功したかどうかを判断するには、「数字で測れる目標」が必要です。
    これを KPI(重要業績評価指標) といいます。

    たとえば:

    ・ミスを30%減らす
    ・作業時間を20%短縮する
    ・目視検査と同等以上の精度を出す

    → あいまいな目標ではなく、現実的で“定量的”な数値目標を立てましょう。

 

  • STEP 3:データの準備と学習

    AIの精度はデータの質と量に大きく左右されます。
    画像・音声・ログ・テキストなど、AIに学習させるための素材が必要です。
    でも実際には
    ・思ったよりデータが少ない
    ・ラベル(正解情報)がついていない
    といったあるあるトラブルもよく起きます。

→データ準備には時間がかかることも多いので、早めに着手しておくと安心です。

 

  • STEP 4:実証実験の実施(PoCの実施)

    ここでいよいよAIを動かしてみます。
    実際の業務に近い形で「お試し導入」して、どのくらい効果があるかを検証します。
    この時点では、試作品レベルでもOK

    大切なのは:

    ・現場の課題にアプローチできているか?
    ・KPIに近づいているか?

そして何より、現場の声をよく聞くこと。
使う人が納得していないと、後で本番導入しても定着しません。

 

  • STEP 5:結果の評価と次のステップの検討
    PoCが終わったら、KPIと実際の結果を照らし合わせて、効果を確認しましょう。

    結果によって、次のステップが変わります:

    ・〇目標達成本番導入へGO
    ・△効果が低かった改善点を整理しよう
    ・×根本的に合ってなかった新しいアプローチを検討

PoCは「ゴール」ではなく、「次への判断材料」。
何が良かったか・どこが足りなかったかを、きちんと振り返ることが大切です

 

よくある失敗例(詳しく解説)

PoCがうまくいかない原因の多くは、準備不足やコミュニケーションの欠如にあります。以下に代表的な失敗例を紹介します。

  • 目的や課題があいまい
    「なんとなくAIを使ってみたい」と始めた場合、PoCの評価基準が曖昧になり、「効果があったのかどうか分からない」という結果に陥りがちです。
  • データの準備が不十分
    AIには正確なデータが必要ですが、現場のデータが紙ベースだったり、形式がバラバラだったりすると、そもそもAIが学習できません。
  • 成功基準を設定していない
    KPI(成果指標)を明確にしていないと、PoC終了後に「で、成功だったのか?」と結論が出せません。
  • 社内の連携が取れていない
    現場担当者やIT部門、経営層など、関係者の理解がバラバラだとPoCが孤立し、成果が社内に広がりません。
  • 社外パートナーの選定ミス
    技術だけでなく、業務理解が深いパートナーを選ばないと、「できること」と「やりたいこと」がすれ違う結果になります。

 

成功する企業の共通点とは?

PoCをうまく活用し、AI導入で成果を出している企業には、いくつかの共通点があります。
小さな工夫の積み重ねが、大きな成功につながっているんです。

 

  1. 小さく始めて、大きく育てる

    ずは「一部の部署」「特定の業務」に限定してPoCを実施。
    大規模に始めず、小さな成功体験を重ねていく企業が多く見られます。
    小さな成果でも「成功の実感」があると、社内の理解と協力が得やすくなります。

  2. 目的と評価基準がハッキリしている

    「なぜやるのか?」「どんな効果を期待するのか?」が最初から明確です。
    たとえば:
    ・ 作業時間を30%減らしたい
    ・ ミスを半分に減らしたい
    ・ 月10時間の業務を自動化したい
    といった 数字で見える目標 を設定しています。

  3. 部門をまたいだチームで動いている

    AIの導入はITだけの話ではありません。
    成功する企業は、現場・管理職・経営層が連携しながら進めています。
    特に現場の声を早い段階で取り入れると、実用性の高いPoCになります。

  4. 使う人を主役にしている

    実際にAIを使う現場の人が、設計や改善の段階から関わっています。
    ・ 「こういうときに困る」
    ・ 「この工程はムダに感じる」
    といったリアルな意見が、AIの精度や使いやすさにつながります。

  5. 外部のプロに相談している

    自社だけで悩まず、外部パートナーの知見を活用しているのも大きな特徴。
    PoCの進め方に悩んだら、相談できる相手がいるだけで安心です。

    たとえば、弊社サイエンスパークではこんなサービスを展開しています。
    AI・DXコンサルティングサービス
    メカトロニクスDXコンサルティング

    これらのサービスでは、PoCの設計から実行まで、業務に合わせたアドバイスが受けられます。

 

まとめ

PoCは、AI導入の「お試し段階」でありながら、成功への大事な一歩です。
「なんとなくAIを試す」ではなく、「何を解決したいのか」を明確にし、目的と計画を持って進めることが成功のカギです。

 

わたしたちサイエンスパークでは、PoCを通じて着実に成果を上げるためのサポートも行っています。
まずはお気軽に「AIなんでも相談室」から、課題を聞かせてください。

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