タイムスタンプ導入のメリットと注意点!~失敗しないための選び方と活用法~
導入を検討されている方へ:なぜ今、タイムスタンプが必要なのか
電子帳簿保存法の改正を受け、電子データの「真実性」をどう証明するかが企業の喫緊の課題となっています。
タイムスタンプはその課題を解決する最も強力な手段です。
「本当に導入すべきか?」「失敗しないためのポイントは?」
本記事は、タイムスタンプの導入を検討している担当者様が最終的な意思決定を下すために必要な情報を網羅しています。
📌 この記事でわかること
- タイムスタンプ導入によって得られる具体的な【4つのメリット】と効果
- 導入前に必ず把握しておくべき【3つの注意点】とリスク回避策
- 電子帳簿保存法におけるタイムスタンプの正確な位置づけ
- 自社に最適なサービスを選ぶための具体的なチェックリスト
これを読んで、法令遵守と業務効率化を両立させる、失敗のないタイムスタンプ導入を実現しましょう。
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目次
- タイムスタンプ導入の【4大メリット】
- 導入前に知っておくべき【4つの注意点】とリスク回避策
- 電子帳簿保存法におけるタイムスタンプの「位置づけ」
- まとめ:最適なタイムスタンプサービスを選ぶためのチェックリスト
1.タイムスタンプ導入の【4大メリット】
タイムスタンプの導入は、単に「電子帳簿保存法に対応するため」だけではありません。
企業経営におけるリスク管理、コスト削減、信頼性向上という多面的なメリットをもたらします。
ここでは、その中でも特に重要度の高い4つのメリットを解説します。
メリット1:データ改ざん・不正利用の防止(真実性の担保)
タイムスタンプの最大の役割は、電子データの「真実性」を証明することにあります。
これは、データが存在した「時刻」と、そのデータが「その時刻から改ざんされていないこと」を、
時刻認証局(TSA)という第三者機関が公的に保証することです。
-
証拠力の向上
契約書、知的財産の設計図、医療データなど、あらゆる電子データについて、
「いつ、その内容で存在していたか」を証明できるため、万が一の訴訟や不正競争、税務調査などにおいて、決定的な証拠力を発揮します。 -
内部不正の抑止
タイムスタンプの付与を業務フローに組み込むことで、「改ざんは不可能である」という認識が社内に広がり、
データに関する内部不正や意図せぬ改ざんを未然に防ぐ抑止力としても機能します。
メリット2:法令・規制への確実な対応(電子帳簿保存法など)
タイムスタンプの導入は、企業のコンプライアンス(法令遵守)体制を強化します。
特に以下の法制度への対応において、極めて重要な役割を果たします。
スキャナ保存制度や電子取引データ保存において、「真実性の確保」のための要件の一つとして認められています。
特にスキャナ保存では、タイムスタンプの付与により税務署長承認が不要となり(※一定の要件を満たす場合)、
スムーズなペーパーレス化を後押しします。
<その他の法令>
e-文書法や、「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」など、
電子データの長期保存や信頼性確保が求められる多くの分野で、タイムスタンプは活用されています。
メリット3:ペーパーレス化・業務効率化の推進
紙文書の電子化(ペーパーレス化)は企業の生産性向上に直結しますが、原本破棄には信頼性担保が必須です。
-
保管コストの削減
スキャンデータにタイムスタンプを付与することで、紙の原本を破棄することが可能となり、
物理的な保管スペースや管理コストを大幅に削減できます。 -
検索性の向上
電子化されたデータは、必要な時にすぐに検索・取り出しが可能となり、書類探しの時間をゼロにします。
迅速な意思決定や監査対応のスピードアップに貢献します。 -
業務フローの自動化
タイムスタンプの付与プロセスを既存のシステムに組み込めば、手作業による証拠保全の工程が不要となり、
経理や法務部門の定型業務の負荷が軽減されます。
メリット4:取引先や顧客からの信頼獲得
タイムスタンプは、企業間の取引においても安心感を提供します。
-
取引の円滑化
電子契約書や電子請求書にタイムスタンプを付与することで、
相手方に「このデータは確かに〇年〇月〇日に存在し、改ざんされていない」ことを明確に示せます。
これにより、電子取引の受け入れがスムーズになり、取引における信頼性が向上します。 -
企業のコンプライアンス意識のアピール
積極的なタイムスタンプの活用は、「法令遵守を徹底し、データの管理に責任を持っている」という姿勢の表れとなり
顧客や投資家に対して高いコンプライアンス意識をアピールする材料になります。
2.導入前に知っておくべき【4つの注意点】とリスク回避策
注意点1:導入・運用コストが発生する
タイムスタンプの導入は無料ではありません。
また、多くのサービスでは、電子契約サービスのオプションとしてタイムスタンプの発行機能を盛り込んでいます。
サービス内容によって発生するコストは異なりますが、主に以下の費用を把握しておく必要があります。
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タイムスタンプ発行費用(ランニングコスト)
1回(1データ)の付与にかかる費用です。
サービスや契約数によって大きく変動しますが、1スタンプあたり数円から数十円程度が目安となります。
例えば、「アマノタイムスタンプサービス3161」では
・月額料金8,000円(1,000スタンプの付与・税抜)
・超過は1スタンプ8円(税抜) -
初期導入費用・システム連携費用
既存の文書管理システムや電子契約システムと連携させるための初期設定費やカスタマイズ費用です。
これは導入形態(クラウド/オンプレミス)によって大きく異なります。
例えば、「アマノタイムスタンプサービス3161」では
・アカウント発行費用として1アカウント6,000円(税抜)の初期費用が発生します。 -
年間保守費用: システムの安定稼働を維持するための年間サポート費用です。
こちらも導入形態によって様々です。
-
<リスク回避策>
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棚卸しと試算の実施
まず、「どの文書・データに、どのくらいの頻度で」タイムスタンプが必要かを具体的に棚卸しします。
その上で、複数のサービス事業者から発行単価、初期費用、ランニングコストの見積もりを取得し、費用対効果を導入前に必ず試算しましょう。 -
定額プランの検討
大量の文書やデータを扱う場合は、従量課金よりも、一定の発行回数までカバーする定額プランがないかを確認しましょう。
電子契約サービスなどに組み込まれている場合は、そのサービス全体の料金として考慮します。
-
注意点2:既存システムとの連携が必要
タイムスタンプの効力を最大限に発揮し、業務負荷を軽減するためには、システム連携が不可欠です。
- 連携の複雑さ
タイムスタンプの付与は、システム側で自動的に行うのが理想です。
しかし、既存のシステム(特に自社でカスタマイズしたもの)がタイムスタンプ事業者(TSA)と連携するためのAPIに対応していない場合、
連携開発に時間とコストがかかります。 - 電子署名サービスとの関係
既に電子署名サービスを利用している場合、そのサービス自体にタイムスタンプ機能が標準で含まれているかを確認する必要があります。
含まれていない場合、サービスを別途契約し、連携させる必要があります。 - 信頼できる「認定事業者」のタイムスタンプを選ぶ
タイムスタンプは、第三者機関が時刻の正当性を保証することで法的効力を持ちます。
しかし、すべてのタイムスタンプが公的な証拠力を保証されるわけではありません。
信頼性の低い非認定事業者のサービスを選んでしまうと、税務調査などで証拠能力が認められないリスクがあります。
<リスク回避策>
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連携実績の確認
導入を検討するサービス事業者に、自社が利用している既存システムとの連携実績があるかを確認しましょう。
実績があれば、開発リスクを大きく減らせます。 -
API提供の有無
既存システム開発部門と連携し、TSAが提供するAPI仕様が自社のシステムで容易に利用できるかを事前に評価することが重要です。
注意点3:運用フローの変更と従業員への教育
タイムスタンプは「いつ押すか」というタイミングが非常に重要です。この運用を誤ると、証拠力が認められなくなる可能性があります。
- 業務フローの混乱
タイムスタンプ付与のタイミングや対象書類のルールが曖昧だと、現場の従業員が混乱し、業務が滞ったり、付与漏れが発生したりします。
- 法的要件の理解不足:
電子帳簿保存法など、法令が要求する要件(例:スキャナ保存におけるタイムスタンプ付与期限)を現場が正しく理解していないと、
法令違反につながるリスクがあります。
<リスク回避策>
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明確なマニュアルの作成
「どの部門が、いつ、何をトリガーにタイムスタンプを付与するのか」を明確に定義した業務フローマニュアルを必ず作成します。
特に、訂正や削除が発生した場合の取り扱いについても明記しましょう。 -
全社的な研修の実施
経理や法務部門だけでなく、文書を作成・管理するすべての関係者を対象とした研修を定期的に実施し、ルール徹底を図ります。
注意点4:信頼できる「認定事業者」のタイムスタンプを選ぶ
タイムスタンプは、第三者機関が時刻の正当性を保証することで法的効力を持ちます。
しかし、すべてのタイムスタンプが公的な証拠力を保証されるわけではありません。
信頼性の低い非認定事業者のサービスを選んでしまうと、税務調査などで証拠能力が認められないリスクがあります。
<リスク回避策>
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総務大臣認定の確認
導入を検討するサービスが、総務大臣によって「時刻認証業務の認定」を受けているかどうかを必ず確認してください。
この認定は、提供する時刻の正確性やセキュリティ体制が公的に認められている証拠です。 -
認定事業者以外のサービスは避ける
当社は2025年8月、総務省の「タイムスタンプ認定制度(時刻認証業務)」に基づく認定を、
電子帳簿保存法に対応し、法的な信頼性を確保するためには、認定を受けたTSA(時刻認証局)のサービスを選ぶことが大前提となります。
自社構築のタイムスタンプサービス iScign(アイサイン)にて取得しました。
3.電子帳簿保存法におけるタイムスタンプの「位置づけ」
タイムスタンプ導入の最大の動機付けとなるのが、電子帳簿保存法(電帳法)への対応です。
しかし、2022年1月の改正により、タイムスタンプの要件は大幅に緩和され、「必須ではない」ケースが増えています。
ここでは、電帳法におけるタイムスタンプの正確な位置づけを解説します。
真実性の確保要件におけるタイムスタンプの役割
電帳法では、電子データを保存する際に「真実性の確保」と「可視性の確保」という2つの要件を満たすことが求められます。
タイムスタンプは、このうちの「真実性の確保」(データが改ざんされていないことの証明)を実現する、最も確実な手段の一つです。
タイムスタンプの付与が求められるのは、主に以下の2つの区分です。
-
スキャナ保存: 紙の請求書や領収書などをスキャンして電子データとして保存する際。
-
電子取引データ保存: メールやクラウドで受領・発行した請求書や契約書などのデータをそのまま保存する際。
タイムスタンプは、これらのデータが「受領(または作成)時点から変更されていないこと」を証明し、証拠力を担保します。
タイムスタンプが「不要」となるケースとは?
2022年の電帳法改正により、以下のいずれかの要件を満たしていれば、タイムスタンプの付与は不要となりました。
これは、企業がシステムの特性や運用ルールによって真実性を担保できるようになったためです。
| ケース | 真実性を担保する代替措置 | 解説 |
| システム利用による担保 | データの訂正や削除の履歴が残るシステム、 または訂正や削除ができないシステムを利用して保存する。 |
履歴機能を持つ電子契約サービスや文書管理クラウドを利用する場合、 システム自体が改ざん防止の役割を果たすため、タイムスタンプは不要となります。 |
| 事務処理規程による担保 | 訂正削除の防止に関する事務処理規程を定め、 それに沿った運用を行う。 |
タイムスタンプ機能を持たないシステムを利用する場合や、PCのフォルダ保存を行う場合などに、社内ルールで真実性を担保する方法です。 規程は国税庁がサンプルを公開しており、それに準拠する必要があります。 |
| 既に付与されている場合 | 取引先などから受領した電子データに、既に適切なタイムスタンプが有効な状態で付与されている場合。 | 自社で追加のタイムスタンプを付与する必要はありません。 |
詳細は国税庁が公開している「電子帳簿保存法一問一答(Q&A)」をご覧ください。
4.まとめ:最適なタイムスタンプサービスを選ぶためのチェックリスト
ここまで、タイムスタンプ導入のメリットと注意点、そして電子帳簿保存法における位置づけについて解説してきました。
導入検討を具体的な行動へ移すために、最後に失敗しないサービス選定のためのチェックリストを活用しましょう。
以下の3つの観点から、自社の利用目的とコストに最適なサービスを見極めてください。
(1) 信頼性と法的証拠力(最重要確認事項)
タイムスタンプの法的効力を担保するため、サービス提供者の公的な信頼性を最優先で確認してください。
✅ 総務大臣認定の有無
サービスを提供する事業者(時刻認証局:TSA)が、総務大臣から「時刻認証業務の認定」を受けているかを必ず確認してください。
この認定を受けていることが、電子帳簿保存法対応や、万が一の訴訟・税務調査において証拠能力を保証する絶対条件です。
✅ サービス継続性
サービスの提供実績が長く、安定した事業基盤を持つ事業者であるかを確認しましょう。
タイムスタンプはデータの長期的な真実性を保証するため、提供サービスの継続性が極めて重要です。
- (2) コストと費用対効果(経営判断)
トータルコストを正確に把握し、費用対効果を評価します。特にランニングコストに注意が必要です。
✅ 料金体系の適合性
自社の発行頻度(月間・年間)に対し、従量課金制と定額制のどちらが有利になるかを試算しましょう。
大量の文書やデータを扱う場合は、定額制が有利になることが多いです。
✅ 初期費用の有無
導入時のシステム連携開発費、初期設定費用など、初期にかかる費用が予算内に収まっているか確認しましょう。
✅ 契約期間と解約条件
サービスの契約期間や途中解約の条件を確認し、将来的な事業計画やシステム変更の可能性に対応できる柔軟性があるかを確認しましょう。
(3) システム・運用連携性(実務的判断)
実際に日々の業務でストレスなく使えるか、また既存システムを活かせるかが重要です。
-
✅ 既存システム連携実績
自社が利用している電子契約サービスや文書管理システムと、スムーズに連携できる実績があるか確認しましょう。
連携の容易さは、導入期間と開発コストに直結します。 -
✅ 業務フローとの整合性
タイムスタンプの付与が、現在の業務フローの中で「いつ」「誰が」行うか明確に定義され、混乱なく実行可能でしょうか。
付与のタイミングが付与期限(特にスキャナ保存の猶予期間)に適合しているか確認しましょう。
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